【糖尿病闘病記⑥】コロナ禍が唯一の武器を奪った。HbA1c9.5への再発と、静かなる絶望。復活。そして!

前回までのあらすじ 王城メソッドの実践によってHbA1cを5.4の正常値まで改善した私は、ホワイトカラーへの転職後、前職以上に限界まで働き、食事管理も運動も崩壊。体重は戻り、HbA1cは9.5まで跳ね上がり、高血糖を再発させてしまいました。そして再起を決意した矢先、誰も予想しなかった「世界規模の災禍」が私の前に立ちはだかります。


目次

崩れるまでの3年間。再発の背景にあったもの

一度正常値まで回復した身体が、再び壊れていくのは想像以上に速いスピードで訪れました。

転職後しばらくは、ジム通いも食事管理もなんとか続けられていました。しかし、配属先での状況が一変したのです。

先輩社員が2人同時に辞めた。

その瞬間から、私+2人分以上の業務がすべて私の肩にのし掛かってきました。

結果を出そうと早朝から深夜まで働き続ける日々の中で、私の生活は静かに、しかし確実に崩れていきました。

  • 慢性的なストレスと睡眠不足で、精神的な負荷がピークに達していた
  • 業務の大半はデスクワークか、長距離運転
  • 時間の余裕が消えるにつれ、手軽に済ませられる不摂生な食事に頼るしかなくなった(吐きそうになった牛丼が親友として仲直り!)

一度糖尿病を経験した身体は、こうした悪条件に対して驚くほど正直に反応します。みるみるうちに体重は増え、苦労して小さくした作業着のサイズも、あっという間に元に戻ってしまいました。

そして転職から3年。血液検査の結果に記された数字は——

HbA1c:9.5

また、あの数字に戻ってきてしまった。

ちなみにこの時は違う泌尿器科の方ではなく、全く別の医者様でしたが「こんな数字、重度糖尿病だ、死ぬよ」と目も合わさずボソッといわれました。似たような歳の医者。宣告してくれるのは仕事ですが、そんなに人をゴミのような言葉で言わなくても・・・。私はこの状況で罹患した時に病院に行けなかったのです。


再起の決意。そして2020年、世界が変わった

9.5という数字を突きつけられた私は、もう一度やり直すことを決意しました。

仕事帰りに少しずつジムへ足を向け始め、食事管理も再開し始めた。あの地獄から抜け出した経験がある分、「やれる」という確信は持っていました。

しかし——。

2020年。世界が、止まりました。

新型コロナウイルスのパンデミック。緊急事態宣言。外出自粛。そして——

24時間ジムの閉鎖。

シャッターが下りていました。営業最後の日に「いつ再開ですか?」と聞いても答えは「さぁ」でした。

世の中全体が「さぁ」の世の中でしたから仕方ありません。

いつも光が灘れていたあのガラス越しの空間が、暗く閉ざされていた。重い鉄塊が積み上がったあの場所が、静まり返っていた。

糖尿病との闘いにおいて、私の唯一の武器は「重い鉄を挙げること」でした。王城メソッドの根幹は高重量の筋トレです。その場所を、パンデミックという自分の意志では抗えない力によって、完全に奪われた瞬間でした。


ジムどころか店もほとんどやってなかった

自重トレでは、足りない

ステイホーム。その言葉は、私にとって「武器を封じられたまま戦場に立つ」ことと同じ意味でした。

自宅での自重トレーニングを試みました。腕立て伏せ、スクワット、腹筋、ストレッチ・・・。

しかし、王城メソッドが重視するのは「速筋繊維の強制的な動員」です。速筋は、自体重程度の負荷では本格的に刺激されません。自重トレーニングは決して無意味ではありませんが、高重量のバーベルを担いだときの負荷とは根本的に違う。回数では足りないのと場所によっては中々鍛えられない箇所が発生します。自重で回数を重ねれば疲労はしていきますが筋トレとはまた違う感覚。効果はあります。どんな運動もやらないよりは絶対的に効果があるのです。しかしあの重量感が病気を捻り潰した実績を体は覚えていました。物足りないのです。

ジムに入れない。追い込めない。追い込んでいる感覚すら得られない。

外出もままならず、先の見えない不安が日々積み重なっていく。ニュースは豪華客船の感染者をはじめ、海外では多くの死者を出す惨状が続々と報道される。そしてその不安と閉塞感は、血糖値にも確実に影響を及ぼし始めていました。

厚生労働省のe-ヘルスネットでも明記されているように、運動不足によって筋肉量が減少すると、ブドウ糖の取り込み能力が低下しインスリン抵抗性が悪化します。さらに、慢性的なストレスはコルチゾールやアドレナリンといったホルモンの分泌を促し、血糖値を直接的に上昇させる作用があることも医学的に示されています。

運動不足とストレス。その両方が、同時に私を蝕んでいました。


怒りと無力感の間で

あの時期は、怒りを感じていました。

自分のせいではない。誰のせいでもない。ただ、世界が変わった。それだけで、積み上げてきたものが崩れていく。

糖尿病との闘いは、意志と努力でどうにかなると思っていました。しかしコロナ禍は、その前提を根底から覆しました。どれだけ強い意志を持っていても、ジムが存在しなければ鉄は挙げられない。

自分の体が少しずつ蝕まれていくのを、ただ見ている。

Twitterがあっても、誰とも会えず、おかしくなっていくあの孤独は、言葉にするのが難しい種類の孤独でした。


「ピンチをチャンスに」。ホームジムという逆転の発想

しかし、私はそこで止まりませんでした。

在宅勤務への切り替えで、皮肉にも「時間」が手に入った。定時以上の仕事がない。それでジムが閉まっているなら、ジムを自分で作るしかない。まさに環境づくりです。環境を作り出せば勝てると自分の経験値の中で確信を得ていました。

Amazonでアジャスタブルベンチ、ダンベル、バーベル、プレートを揃え、アパートの一室をホームジムに変えました。緊急事態宣言の最中、全ての器具を購入するために大急ぎでポチり!悩んでいる暇はありませんでした。早く買わないとどの製品も無くなってしまうのです。私がポチり終えた後はどの製品も在庫が当面補充されませんでした。タイムイズマネー。アパートの1室が簡易的なホームジムになりました。下の人に怒られないように細心の注意を払った鉄塊との同居生活です。晴れた日は外にバーベルを出してハングクリーンをアパート横でやり、ご近所様の注目を集めました。夕日の下でやるハングクリーンは最高でした。良い思い出です。

同時に、前回以上にTwitter(現X)で毎日の食事とトレーニングを細かく記録・発信し始めました。数値で管理し、コミュニティで共有し、自分を可視化する。あの頃に学んだ戦い方を、もう一度実践したのです。鶏肉に「ごめんね、もう一回友達になって」と擦り寄ってスーパーで買い占め、牛丼には「ドン牛、テメエとは絶交だ」と一方的に絶縁し某チェーン店の前を通らない様にしました。今では大親友です、ご縁とは分かりません、優しい牛丼です(笑)

勝手に太って、勝手に絶縁するクソ野郎だと承知しています

終日自炊できる環境も最大限に活用しました。飽和脂肪酸の制限、タンパク質の確保、PFCバランスの徹底。コロナ禍は私から外の世界を奪いましたが、同時に「食事管理だけに集中できる環境」を与えてもくれました。鶏肉をどれだけ美味しく作れるかを研究し、最高に美味い筋肉飯を編み出したのもこの時期です。


プロレスラー??。そして数字が証明した

この期間は、後から振り返れば「怪我の功名」でした。

ストレスの根源だった職場から切り離され、食事と運動だけに集中できた結果——身体が、見違えるように変わっていきました。

体重110kg、体脂肪率16%。

周囲からは「プロレスラーのようだ、転職するの?」と言われるほどになっていました。過去最高の体組成です。

そして翌年の健康診断。

HbA1c:5.4

二度目の正常値。薬なし。自分の力だけで、また戻ってきた。

糖尿病にとって最大の敵は、長時間労働とストレス、そしてそれらが引き起こす自己管理の崩壊だと、改めて痛感しました。柔道で培った根性と、前職の経験で身につけた粘り強さは私の強みです。しかし当時は、その根性があったからこそ、限界を超えた環境にも適応しようとして、身体を壊していました。まさに糖尿病に体育会系の隙間を狙われたのです。


再び薬なしで戻ってきた健康体?

二度とこの状態に戻らない。そう誓った私を待っていたもの

HbA1c 5.4。二度目の完全復活。

二度とこの状態には戻らない。そう心に刻みました。

しかし、なんとなくお気づかと思いますが

世界が元に戻ったとき——私の体も、元に戻っていきました。

コロナ禍の終焉とともに、リモートワークも終わりを告げました。仕事が戻ってきた。外出が戻ってきた。そして、あの激務も、あのストレスも、あの食事の乱れも——すべてが、戻ってきた。むしろ「リベンジ需要」で世の中は勢いづき、円安が起き、色んな資材が足りない状況が次々と発生しサラリーマンの仕事量は膨大になっていたのではないでしょうか?

積み上げた筋肉が。丁寧に管理し続けた食事が。取り戻したはずの数値が。

また、少しずつ、崩れ始めていく。

世界が「日常」を取り戻した瞬間、私の体は再び「あの悪夢」に引き戻されようとしていました。

いや、もう高血糖の状態が「日常」で管理できていることが「夢」なのか?

そんな中でも三度目の戦いが、始まろうとしていました。


【医学的根拠】運動不足とストレスが血糖値を壊すメカニズム

① 運動不足によるインスリン抵抗性の悪化

運動不足によって筋肉量が減少すると、血液中のブドウ糖を取り込む能力が低下し、インスリン抵抗性が引き起こされます。厚生労働省e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」では、運動不足・肥満・高脂肪食・ストレスがインスリン抵抗性を引き起こす主要因として明示されています。また同「糖尿病を改善するための運動」では、レジスタンス運動による筋量の増加が糖の処理能力を改善し、血糖コントロールに有効であることが記されています。つまり、運動が止まれば、その逆が起きるということです。

参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-012.html

参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-005.html


② 精神的ストレスが血糖コントロールに及ぼす悪影響

ストレスを感じると、身体はコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンを分泌します。これらは血糖値を直接的に上昇させる作用を持ちます。さらに慢性的なストレスはインスリン抵抗性を高め、血糖を下げる能力そのものを低下させます。厚生労働省e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」でも、ストレスはインスリン抵抗性を引き起こす要因の一つとして明示されています。長時間労働・睡眠不足・孤立という三重苦は、血糖値にとって最悪の組み合わせです。

参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-012.html


【参照】王城メソッド 公式情報

王城恋太 公式ブログ「糖尿病も3ヶ月で完治するダイエット」 https://ojyokoita.blog.fc2.com/

王城恋太 公式X(旧Twitter) https://x.com/ojyo_k


X(旧Twitter): @gensho_rebuild

Instagram: @gensho.rebuild

※本記事は著者の個人的な闘病体験をもとにしたストーリーです。糖尿病の治療・食事療法については必ず主治医・管理栄養士にご相談ください。運動療法については、健康運動指導士またはNSCA資格保持のパーソナルトレーナーへご相談されることをお勧めします。

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