前回のあらすじ 泌尿器科診察室で「あんた、糖尿病」と宣告された28歳の私。肥満までディスられ帰り道の車の中でスマホを検索し、すべての症状が糖尿病と一致することを知った。しかし、普通の人間なら内科へ直行するはずの私は——そうしなかった。
「俺は、足を切って死にたくない」
夜の駐車場に停めた車の中で、震え上がりながら、ひとりそう呟きました。
1. 祖父の死が植え付けた、内科への恐怖
なぜ私がすぐに内科へ行かなかったのか。
それは祖父の最期が頭から離れなかったからです。
祖父も2型糖尿病でした。合併症が進行し、足の血管が死んで壊疽を起こし、最終的に足を切断して亡くなりました。大好きだったおじいちゃんの足がない。その記憶が、28歳の私の脳裏に鮮明にフラッシュバックしていました。
「内科に行けば、俺も足を切られる」
論理的には間違いとわかっています。今ならさっさと病院へいけよと思う。でも当時の私には、その恐怖を押さえ込むだけの理性が残っていませんでした。糖尿病と宣告された衝撃、28歳という若さへの絶望、誰にも言えない孤独感——すべてが重なり、私は現実から逃げました。
2. 泣きながらスマホにすがりついた夜
28歳という若さで糖尿病。
世間から「自堕落な生活をしているからだ」と後ろ指を指される恥ずかしさで、誰にも相談できませんでした。家族にも、同僚にも、友人にも。
車の中でひとり、震える手でスマホの画面を叩き続けました。AIがまだない時代、ひたすらYahoo検索を叩きまくりました。
「糖尿病 治す」
「糖尿 病院 いかない」
「糖尿病 治療」
「糖尿病 自力で治す」
とにかく自力で治す方法はないか・・・
出てくるのは、「カロリーを制限しろ」「糖質を抜け」「毎日1万歩ウォーキングしろ」という、ちまたに溢れる綺麗事ばかりです。それを当時の病院サイトやクリニックがその程度の情報ばかり、わざと糖尿病を治させない様にしているのではと思うばかりでした。具体的な事はゆで卵の作り方や優しい歩き方程度の具体的な内容ではなく小学生も知ってる。それでは治らない事くらいはダチョウでもわかります(笑)
1日6リットルの渇きと鉛のような倦怠感に沈んでいる130kgほどに戻っていた巨体に、毎日1万歩?
「無理無理。仮にできたとしても、この地獄の頻尿が治るとは到底思えない……」
諦めかけた、その瞬間でした。スクロールする指が、ある一つのブログで止まりました。
3. 運命を変えた「王城メソッド」との出会い
それが——**王城恋太(おうじょうこいた)氏のブログ「糖尿病も3ヶ月で完治するダイエット」**との出会いでした。
最初の数行を読んだ瞬間、私は目を疑いました。
「糖質制限?バカ言え、骨格筋が減って余計にインスリン抵抗性が悪化するぞ!」
「敵は糖質じゃない。お前の筋肉を霜降りにしている『飽和脂肪酸』だ!」
「四の五の言わずにカロリーと脂質を管理して、高強度の筋トレをやれ!」
「バカでは糖尿病は治らないのです(笑)」
——治したという事実とショッキングでユーモラスな言葉に衝撃を受けました。
当時「糖尿病=糖質制限」という常識を真っ向から叩き斬る、強烈なユーモアと経験、圧倒的な医学的根拠に裏打ちされた言葉の数々。
運動について糖尿病学会がウォーキングをメインとしたエクササイズを推奨しているのに対し、王城メソッドは高強度の筋トレを軸とする——この一点が、既存の「常識」と根本的に異なっていました。
私はその夜、一睡もせずに王城氏のブログを隅から隅まで読み尽くしました。
4. 王城メソッドの真髄——「糖の敵」の正体
読者の皆さんにも分かりやすく、私を救ったメソッドの簡単にお伝えします。
王城メソッドの柱は**「飽和脂肪酸の制限」「カロリー管理」「高強度のレジスタンストレーニング(筋トレ)」**の3つです。
① 糖質制限の罠——タンクが小さくなれば糖は溢れる
糖質を極端に抜くと、体は筋肉を分解してエネルギーにしてしまいます。
筋肉は「糖を吸収する巨大なタンク」です。タンクが小さくなれば、血中に糖が溢れて余計に糖尿病が悪化する——これが糖質制限の罠です。
② 本当の敵は「飽和脂肪酸」——筋肉と肝臓に張り付く脂の毒
糖尿病の根本原因は、インスリンが効かなくなること(インスリン抵抗性)です。
その最大の原因が、肉の脂やバターなどに含まれる「飽和脂肪酸」。これが筋肉や肝臓に異所性脂肪として張り付くことで、糖の吸収をブロックしてしまいます。
三大栄養素の中で脂質も大事な栄養素ですが肥満と生活習慣で糖尿病になった私には脂肪が内臓内臓と皮下脂肪にたっぷり付いていたので瞬間的に痩せていくためには飽和脂肪酸は全然必要ありません(笑)
厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」でも、骨格筋や肝臓に脂肪が蓄積するとインスリンが効きにくくなることが記述されています。また、糖尿病情報センター(国立国際医療研究センター)の「糖尿病の運動のはなし」でも、筋力トレーニングによって筋肉が増えることでインスリンの効果が高まり、血糖値が下がりやすくなるとされています。
だから、糖質ではなく飽和脂肪酸とカロリーを徹底的に管理することが正解——これが王城メソッドの核心でした。カロリーを消費カロリー以内に制限しながら筋肉をつけるためにはタンパク質の大量摂取と糖質制限が自動的に必要になります。なので巷の糖質制限とは違いますが、結果として糖質は一般的な日本人が好む食事の中では制限されるため、糖質を無限に食べられるわけではありません。言葉で書くとあべこべですが最終的には糖質制限がカロリー制限に含まれます。対糖尿病へのインデックス投資みたいなもんです。
③ 高強度の筋トレで速筋を肥大化させろ——巨大な「糖のタンク」を作れ
高強度のトレーニングで主に動員される「速筋(タイプII X)」は、酸素を使わずに大量の糖(グリコーゲン)を消費します。
高強度の筋トレで速筋を鍛え上げ、巨大な「糖のタンク」を作れば、血中の糖は骨格筋に吸収されていく。ウォーキングのような低強度の有酸素運動では到達できない速筋への刺激——これが王城メソッドの核心でした。
「これだ。これならできる。何時間も歩く時間はないけどトレーニングならできる。」(そもそも糖尿病になった時点で治す為の時間がないといっている場合ではないが)
死の恐怖に怯えていた130kgの巨体に、初めて明確な「戦い方」がインストールされた瞬間でした。
5. 泥臭い反撃。現場仕事の後のジムで鉄塊を上げた日々
その日から、私の生活は一変しました。
徹底した脂質・カロリー管理を開始し、近所のジムへ入会。逆にタンパク質を大量に摂取するために鶏肉を毎日食べ続けました。
当時は転職したばかりで、毎日現場仕事(肉体労働)の研修中でした。普通なら、一日中体を酷使してヘトヘトになった後、夜からジムに行って高強度の筋トレをするなんて正気の沙汰ではありません。と思いきや普通です。やらなければ終わるのです。早期終了の人生が確定します。ヘトヘトになる前にサヨナラになってしまいます(笑)
作業着のままジムへ直行し、ベンチプレスとスクワットの台へ向かう。130kgの巨体がガクガクに震え、吐き気がするまで鉄塊を上げ続ける。
激しい筋肉痛すら、糖尿病の恐怖に比べれば安いものでした。むしろその痛みが「俺の筋肉が今、血中の糖を爆食いしているんだ!」という、生きている証に感じられました。寿命が数分づつ伸びる感覚です。この時間がなければ私はこの記事を書いている前に足がなくなっていたかもしれません(しっかり残ってます笑)
習慣化されていくことでジムに行かないと気持ちが悪い、筋トレをしないと居心地が悪いと思える様になりました。これはご飯を食べる感覚でバーベルを持ち上げている感覚です。筋トレ中毒者になり変わることに成功しました。
6. 筋肉が病をねじ伏せた——100kgの筋肉ダルマとHbA1c 5.4%
狂ったように鉄と向き合い、タンパク質を摂取し脂質を管理し続けること——半年。
私の体に、信じられない変化が起きていました。
体重130kg → 100kgへ。 特注サイズのブヨブヨだった巨体は、分厚い筋肉の鎧へと変貌していました。
ベンチプレスは150kgを持ち上げ、スクワットは200kg以上を持ち上げる現役時代よりも体重が少なくても持ち上げるパワーは大幅改善されている。漲るエネルギー。
何より地獄の症状が完全消滅。 あの熟れた化膿も、異常な頻尿も、鉛のような倦怠感も——嘘のように消えました。全ての高血糖症状が消え去ったのはわずか1週間です。(勿論数値の変化は1週間で変化したかはわかりません)
というより倦怠感だけであれば筋トレで追い込んだ後から筋トレの疲れに置き換えられていたと思います。気持ちの悪い終わりのない倦怠感が運動の爽やかな、そして足が動かなくなる脅威の疲れに変わったのです。
でも幸せでした。
それくらい高血糖からくる倦怠感は苦しかったのです。
そしてHbA1c、致死レベルから5.4%へ。 恐る恐る受けた会社の健康診断。血液検査の結果を見た瞬間、手が震えました。
「5.4%」——健常者と変わらない、正常値。
私は勝ちました。王城の先生の知学をまとい、行動力と筋肉の力で、病の進行を食い止め、ねじ伏せてやったのです。
ついでに大幅なダイエットに成功し幸せの極みでした。
7. 【次回予告】最強の鎧を纏っても崩れ落ちた日
「俺には王城メソッドと筋肉がある。もう糖尿病なんて怖くない」
HbA1c 5.4%という完全勝利と、分厚くなった胸板に、私は油断しきっていました。
しかし人生は、そして糖尿病という病は——そう甘くはありませんでした。
この大逆転劇から数年後、**「ある環境の変化」と「猛烈なストレス」**によって、私は再びあの地獄の底へと叩き落とされます。
最強の筋肉の鎧を纏っても、なぜ数値は再び跳ね上がってしまったのか。次回「栄光からの転落と、1回目の再発」をお話しします。
【医学的根拠】
① 飽和脂肪酸・異所性脂肪とインスリン抵抗性の関係
骨格筋や肝臓に脂肪(異所性脂肪)が蓄積すると、溜まった脂肪が毒性を発揮してインスリンが効きにくくなります(インスリン抵抗性)。飽和脂肪酸(肉の脂・バター等)の過剰摂取はこの異所性脂肪の蓄積を促進し、インスリン抵抗性を悪化させる要因となります。厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」では、肥満に伴うインスリン抵抗性が2型糖尿病の重要な原因のひとつであると明記されています。
参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/keywords/insulin-resistance
② 筋力トレーニングによるインスリン感受性の向上と血糖値低下
筋力トレーニングによって筋肉量が増えると、血糖を吸収するタンクが大きくなり、インスリンの効果が高まって血糖値が下がりやすくなります。国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病の運動のはなし」でも、筋力トレーニングはインスリン抵抗性の改善を通じて血糖値を下げる効果があることが明記されています。
参照: 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病の運動のはなし」 https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/040/03.html
【参照】王城メソッド 公式情報
王城恋太 公式ブログ「糖尿病も3ヶ月で完治するダイエット」 https://ojyokoita.blog.fc2.com/
X(旧Twitter): @gensho_rebuild
Instagram: @gensho.rebuild
※本記事は著者の個人的な闘病体験をもとにしたストーリーです。糖尿病の症状・治療については必ず主治医・管理栄養士にご相談ください。運動療法については、健康運動指導士またはNSCA資格保持のパーソナルトレーナーへご相談されることをお勧めします。

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